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戦術教科書 / 第2章

第2章 ルールとペナルティ ― 反則の全体像

バイオレーションとファウルの種類、罰則、退場の基準、チームファウル、ノーチャージ、ビデオレビューをFIBAとNBAで比較する。

2-1 バイオレーション ― ボールを失う反則

バイオレーションは体の接触を伴わない反則で、罰則は相手ボールのスローインである。代表的なものはトラベリング(ボールを持って規定以上歩く)、ダブルドリブル(ドリブルを終えた後に再びドリブルする)、アウトオブバウンズ、バックコートバイオレーション(フロントコートに運んだボールを自陣に戻す)である。時間に関するものとして3秒、5秒、8秒、24秒の各ルールがある。

3秒ルールは攻撃側の選手が制限区域に3秒を超えて留まることを禁じる。5秒はスローインやFIBAでのフリースローを5秒以内に行うこと、FIBAではボールを持ったまま近くで守られて5秒を超えないことを定める。NBAではフリースローは10秒以内で、さらにディフェンス3秒(マークせずにペイントに3秒を超えて留まる守備側の反則)があり、テクニカルとしてフリースロー1本が与えられる。

  • 代表例はトラベリングとダブルドリブル
  • 時間の反則は3秒・5秒・8秒・24秒
  • フロントコートから戻すとバックコート
  • NBAにはディフェンス3秒がある

2-2 ゴールテンディングとインターフェア

ゴールテンディングは、落下中のボールがリングより高い位置にある間にシュートに触れる反則である。インターフェアは、ボールがリング上やシリンダー内にあるときにボールやリング、ネットに触れる反則を指す。守備側が犯せば得点が認められ、攻撃側が犯せば得点は取り消される。どちらもブロックショットの判定と密接にかかわるため、ビッグマンは特に正確に理解しておく必要がある。

細部ではFIBAとNBAの扱いが異なってきた歴史があるが、近年は解釈が近づいている。FIBA 2026年ルール(2026年10月1日発効)では、ゴールテンディングやインターフェアの判定がファウルとからんだ場合にも、インスタントリプレーで正しかったかを確認できるよう範囲が広げられた。判定が覆った場合の試合再開方法も定められている。

  • 守備側の違反は得点が認められる
  • 攻撃側の違反は得点が取り消される
  • FIBA2026でリプレー確認の範囲が拡大
コート(半面)

カット・移動パスドリブルスクリーン1〜5オフェンスXディフェンス

2-3 ファウルの種類と罰則

パーソナルファウルは体の接触による反則の基本形である。シュート中でなければ相手ボールのスローイン(チームファウルが規定数を超えていればフリースロー2本)、シュート中なら2本か3本のフリースロー、シュートが入れば得点に加えて1本(バスケットカウント、アンドワン)となる。オフェンスファウル(チャージングなど)は攻撃側の反則で、相手ボールになる。

より重い反則として、FIBAは2026年ルールで従来のアンスポーツマンライクファウルをディスラプティブファウルとフレグラントファウル(JBAの訳語)に分けた。前者は速攻阻止など、ボールに正当にプレーしない接触で、フリースロー2本と相手のスローイン。後者は危険・過度な接触である。NBAのフレグラント1と2もフリースロー2本とボール保持で、2は即退場となる。テクニカルは振る舞いなどへの罰則でフリースロー1本である。

  • シュート中のファウルはFT2本か3本
  • シュートが入ればバスケットカウントで+1本
  • FIBA2026: ディスラプティブとフレグラント
  • NBA: フレグラント1と2、2は即退場

2-4 退場の基準

ファウルの累積による退場はFIBAが5個、NBAが6個である。試合時間が短いFIBAのほうが少ない数で退場となるため、主力選手のファウルトラブル管理がより重要になる。退場した選手は再出場できないが、チームは交代選手を出して5人で試合を続ける。交代要員がいなくなり人数が足りなくなると、試合が成立しなくなる場合もある。

累積とは別の失格もある。FIBA 2026年ルールでは、カテゴリー1のテクニカル(振る舞いに関するもの)2個、フレグラントファウル2個、またはその組み合わせで失格・退場となり、ディスラプティブファウルや遅延行為などのカテゴリー2のテクニカルは失格の累積に数えない。NBAではテクニカル2個、フレグラント2が1個、フレグラント1が2個で退場となる。

  • 累積退場はFIBAが5個、NBAが6個
  • FIBA2026: カテゴリー1テクニカル2個で失格
  • NBA: テクニカル2個かフレグラント2で退場

2-5 チームファウルとボーナス

チームファウルは各クォーターでチーム全体が犯したファウルの合計である。FIBAでは1クォーター4個までは通常の処置で、5個目以降はシュート中でないファウルでもフリースロー2本が与えられる。オーバータイムは第4クォーターの続きとして数える。この状態を一般にボーナス(ペナルティ)と呼び、守備側は不用意な接触を避ける必要が出てくる。

NBAも1クォーター4個まではスローインで、5個目からフリースロー2本となる。ただしオーバータイムでは3個まで、さらに各ピリオドの残り2分までに規定数に達していないチームは、残り2分以内の最初の1個まではペナルティにならない。終盤に「まだファウルを1つ使える」かどうかは時計の管理や守備の強度に直結するため、ベンチは常にチームファウル数を確認している。

  • FIBA: 1クォーター5個目からFT2本
  • NBA: 5個目からFT2本、OTは4個目から
  • NBAには残り2分のファウル特例がある

2-6 ノーチャージセミサークル

ゴール下の半円(FIBAのノーチャージセミサークル、NBAのリストリクテッドエリア)の内側では、守備側の選手が立っていても、ドライブしてきた攻撃側との接触をチャージングにすることはできない。ゴール真下に立ってオフェンスファウルを狙うだけの守備を防ぎ、ゴール下の攻防を活発にするための規定である。判定は守備者の足の位置で決まる。

このため、ヘルプディフェンスでチャージングを取りたい選手は半円の外で、相手が踏み切る前に正当な位置を確保しなければならない。逆にリム付近を守るビッグマンは、チャージングを狙うより、真上に垂直に跳んでシュートコースを塞ぐ「バーティカリティ」が基本となる。腕を真上に伸ばしたままの接触は、守備側に正当な位置があれば反則になりにくい。

  • 半円の内側ではチャージングが成立しない
  • ヘルプは半円の外で早めに位置を取る
  • リム守備は真上に垂直に跳ぶのが基本

2-7 ビデオレビューとチャレンジ

FIBAはインスタントリプレーシステム(IRS)を使い、終了ブザー前にシュートが放たれたか、2点か3点か、ファウルの格上げ・格下げなどを審判が映像で確認できる。2022年からは各ヘッドコーチに1試合1回のチャレンジ(成否にかかわらず1回)が認められた。2026年ルールでは時間帯の制限がなくなり、試合中いつでも要求できるようになった。

NBAのコーチズチャレンジは2019-20シーズンに始まった。要求にはタイムアウトが残っている必要があり、成功すれば使ったタイムアウトが戻る。2023-24シーズンからは1回目が成功すると2回目が与えられるが、2回目は成功してもタイムアウトは戻らない。対象は自チームに吹かれたファウル、アウトオブバウンズ、ゴールテンディングなどで、リプレーセンターと連携して判定する。

  • FIBA: ヘッドコーチのチャレンジは1試合1回
  • FIBA2026: 時間帯の制限なくいつでも要求可
  • NBA: 要タイムアウト、成功で2回目を獲得

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目次

第3章

オフェンス戦術の考え方

スペーシング、ボールと人の動き、スクリーンとピック&ロール、そしてトライアングルから5アウトまでの戦術の系譜を学ぶ。

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第4章

ディフェンス戦術の考え方

マンツーマンの原則、ヘルプとローテーション、スクリーン対応の選び方、ゾーンとその組み合わせ、プレスまでを整理する。

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